会社に与える損失はいくらか?

会社に与える損失はいくらか?

新型うつ休職者が会社へ与える損害は年収の3倍

週刊文春の「新型うつ」の特集の最終回は、2012年7月12日号でした。筆者の森健氏が昨年末に発表した「つなみ 被災地のこども80人の作文集」が平成24年度の大宅壮一ノンフィクション賞に輝いた事が最終回に花を添える結果となりました。

 

最終回の冒頭は、企業にとって一人の社員が休職するとどれぐらいのデメリットがあるかという話からスタートしています。年収500万円の社員が一年間休職すると、企業の負担はいくらになるか?という質問から入っています。休職中の給料支給が三分の二だったとして、給料だけを単純計算すれば333万円だが、実質は年収の3倍、1500万円になるというのです。

 

保健同人社がネットで公開している試算ソフトによれば、休職者の仕事を代替する社員の残業代、派遣社員など、外部社員の費用や教育費などの派生的費用を含めて約3倍の経費を食うことになるというのです。

 

現在、うつの広がりは大変な経済的損失をもたらしているのです。厚生労働省が2010年に試算した「自殺やうつによる経済的損失」の調査によれば、うつ病による経済的損失は7,700億円(自殺も含めれば、27,000億円)という莫大な金額になるのです。

 

休職が出た場合に派生する経費
  • 休職者の為の穴埋めの人員
  • 他の社員がカバーするための残業代
  • 新たな人員への教育費

 

2006年に厚生労働省は改正労働安全衛生法(安衛法)を施行し、月に百時間以上の残業があり、疲労を感じている社員を医師に面接させるように制度化したにも関わらず、うつや自殺は改善されなかったため、昨年安衛法のさらなる改正案を臨時国会に提出しました。「企業は年一回、医師や保険師を通じて、全従業員のメンタルヘルスを確認せよ。」と制度化したものです。(今年の秋には施行の予定)

 

しかし、この法案が改正、完全適用されると企業の人事担当者から悲鳴が上がっています。「全従業員の検査ともなれば、公的機関を使っても莫大な費用がかかる上、メンタルヘルスのチェックリストにも問題が潜んでいます。「ひどく疲れた。」「気分が晴れない。」といった内容では忙しい会社なら、9割以上が適合してしまうのです。

 

しかも、この検査によって病気休暇が取り安くなるため、休職者が増大し、業務があちこちで滞ることになりかねないのです。

 

企業への甚大な被害の可能性がある

 

以前の大手企業ならば、休職期間を2年間と定めれば、そこで復帰すれば、また、再発等で休職する時、最長の2年間はリセットされ、再度2年間の休職に入れるシステムの就業規則が通常でした。

 

しかし、この制度を利用する社員があまりにも増大したため、就業規則の改定をし、休職は最大で2年間というのが今や常識となりつつあるのです。それは、制度を悪用するケースが出て来たからなのです。

 

それでも大手企業は恵まれている方で、中小企業の中には三ヶ月の休養を満了すれば退職というケースも少なく無いのです。そのために近年増えてきたのがEAP(外部からメンタルヘルスを支援する)という企業です。独自のメンタルシステムを持てない企業向けに、外部から支援するプロ集団です。

 

職場復帰を目指す方々のケアをするプログラムを集団の中でこなす事で、実社会への復帰を目指しているのです。今回の森健氏のレポートは「新型うつ」の実体を粒さに公表するという意味では大いに意義のあるものだといえると思います。ただ、残念なのは、研究者、企業担当者、臨床現場と全て網羅されたかのように思うのですが、臨床の現場が精神科医にばかり偏っている気がしてなりませんでした。

 

というのも、私たち臨床心理カウンセラーの所にも「新型うつ」の波は大きく寄せて来ているからです。え、そんな事で…。と思えるほどに他愛のないことで「死にたい。消えたい。」と口走る若者が増えて来ているのです。今回の特集を読んで、PTSDと同様の感覚で対処しなくてはいけないという指摘に私も大きく頷いた一人です。

 

トラウマのとらえ方や見方を変える事で救えるクライアントさんが居るのならそれを取り入れてでも治療はすべきだと思います。そして、私たちがずっと訴え続けて来た「池田登式セラピー」による治療法こそが、「新型うつ」に大いに効果が期待できると考えます。

 

 

 

※このレポートはバーミリオンハートのブログからの転用で、、カウンセラーである貝増が池田登式セラピーを行う中で得た現場での体験、また心療の医師のレポートなどから、最新の新型うつに関する情報をまとめ、掲載しているものです。治療に関しては医師の行う治療情報ということです。

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